ほっと・ケアライフ通信
第42回 平成30年度介護報酬改定の主な事項について③
居宅介護支援・訪問介護・通所介護 編
前回に続きまして今回のほっと・ケアライフ通信では、平成30年1月26日に厚生労働省が発表した「平成30年度介護報酬改定の主な事項」について、居宅介護支援・訪問介護・通所介護に関係するものをご紹介させていただきます。
平成30年度介護報酬改定は、大きく4つの視点から改定されます。その4つの視点とは「1.地域包括ケアシステムの推進」「2.自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現」「3.多様な人材確保と生産性の向上」「4.介護サービスの適正化・重点化を図ることにより、制度の安定性・持続可能性を確保」の4つの視点です。
今回はこの4つの視点のうちの1つである「多様な人材の確保と生産性の向上」と「介護サービスの適正化・重点化を通じた制度の安定性・持続可能性の確保」の視点から改正される、平成30年度介護報酬改定の主な事項(居宅介護支援・訪問介護・通所介護)をご説明させていただきます。
1.多様な人材の確保と生産性の向上の実現
多様な人材の確保と生産性の向上のためには、「人材の有効活用・機能分化、ロボット技術等を用いた負担軽減、各種基準の緩和等を通じた効率化」の実現が重要視されており、平成30年度の介護報酬の改定にも反映されています。
(1)訪問介護
① 訪問介護事業所の人材の確保
訪問介護事業所における更なる人材確保の必要性を踏まえ、介護福祉士等は身体介護を中心に担うこととし、生活援助中心型については、人材の裾野を広げて担い手を確保しつつ、質を確保するため、現在の訪問介護員の要件である130時間以上の研修は求めないが、生活援助中心型のサービスに必要な知識等に対応した研修を修了した者が担うこととするとしています。
② 生活援助中心型のサービスに従事する者への研修等の実施
①のため、新たに生活援助中心型のサービスに従事する者に必要な知識等に対応した研修課程を創設することとする。その際、研修のカリキュラムについては、初任者研修のカリキュラムも参考に、観察の視点や認知症高齢者に関する知識の習得を重点とする。(カリキュラムの具体的な内容は今年度中に決定する予定)
2.介護サービスの適正化・重点化を通じた制度の安定性・持続可能性の確保
介護サービスの適正化・重点化を通じた制度の安定性・持続可能性の確保の実現のため、平成30年度の介護報酬の改定にも反映されています。
(1)訪問介護
① 同一建物等居住者にサービス提供する場合の報酬について建物の範囲等を見直すとともに、一定の要件を満たす場合の減算幅を見直すとしています。
今回の改正では、同一建物減算が2つの点で変更になります。【変更点1】 減算の対象となる建物が有料老人ホーム等から全ての建物が対象となります。【変更点2】同じ建物に居住するもので20名以上のものが訪問介護を受けると10%の減算はそのままですが、同じ建物居住するもので利用者が50名になると15%の減算になることが新しく決まりました。
② 介護サービス利用者は、①の同一建物減算により減算された点数分で新たなサービスを受けてはいけないとされます。(例 10%減算を10回受けているかといって減算された分で新たにサービスを受けることができない)(2)通所介護
① 2時間ごとの設定としている基本報酬について、サービス提供時間の実態を踏まえて1時間ごへの見直されることになりました。
以上が「多様な人材の確保と生産性の向上」と「介護サービスの適正化・重点化を通じた制度の安定性・持続可能性の確保」の視点から平成30年度介護報酬改定の主な事項(居宅介護支援・訪問介護・通所介護)になります。