ほっと・ケアライフ通信
第41回 平成30年度介護報酬改定の主な事項について②
居宅介護支援・訪問介護・通所介護 編
前回に続きまして今回のほっと・ケアライフ通信では、平成30年1月26日に厚生労働省が発表した「平成30年度介護報酬改定の主な事項」について、居宅介護支援・訪問介護・通所介護に関係するものをご紹介させていただきます。
平成30年度介護報酬改定は、大きく4つの視点から改定されます。その4つの視点とは「1.地域包括ケアシステムの推進」「2.自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現」「3.多様な人材確保と生産性の向上」「4.介護サービスの適正化・重点化を図ることにより、制度の安定性・持続可能性を確保」の4つの視点です。
今回はこの4つの視点のうちの1つである「自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現」の視点から改正される、平成30年度介護報酬改定の主な事項(居宅介護支援・訪問介護・通所介護)をご説明させていただきます。
1.多様な人材の確保と生産性の向上の実現
今回の改正では、「自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現」のための改正もありますのでご紹介させていただきます。
(1)居宅介護支援・訪問介護
① 訪問回数の多いケアプランに対しての市町村によるチェック
訪問回数の多いケアプランについては、利用者の自立支援・重度化防止や地域資源の有効活用等の観点から、市町村が確認し、必要に応じて是正を促していくことが適当であり、ケアマネジャーが、統計的に見て通常のケアプランよりかけ離れた回数の訪問介護(生活援助中心型)を位置付ける場合には、市町村にケアプランを届け出ることとされます。
(2)訪問介護
① 生活機能向上連携加算
現行の生活機能向上連携加算は、「利用者の居宅へサービス提供責任者と訪問リハビリテーションまたは通所リハビリテーション事業所の専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士を指す。以下専門職員)が同行して訪問し、共同で訪問介護計画を作成した場合に付与される加算」とされています。
改正点Ⅰ
今回の改正では生活機能向上連携加算Ⅱが新設され、現行では「訪問リハビリテーションまたは通所リハビリテーション事業所の専門職」が要件となっていますが、「リハビリテーションを実施している医療提供施設のリハビリテーション専門職や医師」でも加算が受けることが出来るようになりました。
改正点Ⅱ
生活機能訓練加算Ⅰも新設され、リハビリテーション専門職等が利用者宅を訪問することが難しい場合においても、自立支援・重度化防止に資する介護を推進するため、
●外部の通所リハ事業所等のリハビリテーション専門職等からの助言(アセスメント・カンファレンス)を受けることができる体制を構築し、助言を受けた上で、訪問介護計画を作成すること
●当該リハビリテーション専門職等は、通所リハ等のサービス提供の場において、又はICTを活用した動画等により、利用者の状態を把握した上で、助言を行うこと
以上の2つの要件を定期的に行うことを評価することになりました。
② 自立生活支援のための見守り的援助の明確化
「自立生活支援のための見守り的援助」とは、身体介護として区分され、自立支援、ADL向上の観点から安全を確保しつつ常時介助できる状態で行う見守りをいます。単なる見守り・声かけは含まれません。
③ 身体介護サービスと生活援助サービスの報酬のメリハリ化
今回の改正では、自立支援・重度化防止に資する訪問介護を推進・評価する観点から、訪問介護事業所の経営実態を踏まえた上で、身体介護に重点を置くなど、身体介護・生活援助の報酬にメリハリをつけるとしています。
(3)通所介護
① ADL維持等加算
②、③の要件を満たす通所介護事業所の利用者全員について、評価期間(前々年度の1月から12月までの1年間)終了後の4月から3月までの1年間、新たな加算の算定を認めるとされます。
② ADL維持等加算(Ⅰ)の新設 (3単位/月)
評価期間に連続して6月以上利用した期間(注1)(以下、評価対象利用期間)のある要介護者(注2)の集団について、以下の要件を満たすこと。
A. 総数が20名以上であること
B. Aについて、以下の要件を満たすこと。
a 評価対象利用期間中の最初の月において要介護度が3、4または5である利用者が15%以上含まれること
b 評価対象利用期間の最初の月の時点で、初回の要介護・要支援認定があった月から起算して12月以内であった者が15%以下であること。
c 評価対象利用期間の最初の月と、当該最初の月から起算して6月目に、事業所の機能訓練指導員がBarthelIndex(注3)を測定しており、その結果がそれぞれの月に報告されている者が90%以上であること
bcの要件を満たす者のうちBI利得(注4)が上位85%(注5)の者について、各々のBI利得が0より大きければ1、0より小さければ-1、0ならば0として合計したものが0以上であること。
注1 複数ある場合には最初の月が最も早いもの。
注2 評価対象利用期間中、5時間以上の通所介護費の算定回数が5時間未満の通所介護費の算定回数を上回るものに限る。
注3 ADLの評価にあたり、食事、車椅子からベッドへの移動、整容、トイレ動作、入浴、歩行、階段昇降、着替え、排便コントロール、排尿コントロールの計10項目を5点刻みで点数化し、その合計点を100点満点として評価するもの。
注4 最初の月のBarthelIndexを「事前BI」、6月目のBarthelIndexを「事後BI」、事後BIから事前BIを控除したものを「BI利得」という。
注5 端数切り上げ
③ ADL維持等加算(Ⅱ)の新設 (6単位/月)
②の要件を満たした通所介護事業所において、評価期間の終了後にもBarthelIndexを測定、報告した場合、より高い評価を行う。((Ⅰ)(Ⅱ)は各月でいずれか一方のみ算定可。)
以上が「自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現」の視点から平成30年度介護報酬改定の主な事項(居宅介護支援・訪問介護・通所介護)になります。