ほっと・ケアライフ通信
第39回 平成30年度介護報酬改定に向けて(審議報告のとりまとめに向けて)の訪問介護部門について
今回のほっと・ケアライフ通信では、平成29年12月13日に厚生労働省が発表した「平成30年度介護報酬改定に向けて(審議報告のとりまとめに向けて)訪問介護部門」についてご紹介させていただきます。
(1)訪問介護部門のポイント
① 生活機能訓練加算の見直しについて
生活機能訓練加算とは、「利用者の方の居宅へ訪問介護事業所のサービス提供責任者と訪問リハビリテーションまたは通所リハビリテーション事業所の専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が同行して訪問し、共同で訪問介護計画を作成した場合に付与される加算」です。
今回の改正では、よりリハビリテーションの専門職との連携を促進させるため、リハビリテーション専門職が実際に利用者の方を訪問できなくても、訪問介護事業所がリハビリテーション専門職の助言が聞ける体制を整え、助言を受けたうえで、サービス提供責任者が生活機能の向上を目的とした訪問介護計画を作成または変更すれば、生活機能訓練加算を受けることができます。
② 「自立生活支援のための見守り的援助」の内容を明らかにする
「自立生活支援のための見守り的援助」とは、「自立支援、ADL向上の観点から安全を確保しつつ常時介助できる状態で行う見守りをいう。単なる見守り・声かけは含まない。」とさているが、具体的な規定はまだ無いので、平成30年の介護報酬ではその内容がより具体的にされつものとされています。
③ 身体介護と生活援助の報酬の見直し
平成30年介護報酬改正では、自立支援・重度化防止のため身体介護に財源を集中していくことが考えられます。そのため身体介護と生活援助の報酬は更に差がつくとされています。
④ 生活援助中心型の担い手の拡大
介護業界の人材難を踏まえ、生活援助中心型については、人材の裾野を広げて担い手を確保しつつ、質を確保するため、現在の訪問介護員の要件である130時間以上の研修は求めないが、生活援助中心型のサービスに必要な知識等に対応した研修を修了した者(新生活援助サービス提供者)が担うこととしています。
新生活援助サービス提供者は訪問介護事業所の人員基準にもカウントされ、介護福祉士が生活援助サービスしても新生活援助サービス提供者が生活援助サービスを提供しても請求できる介護報酬は同じになるとされています。
⑤ 同一建物減算について
同一建物減算とは、
1 事業所と同一敷地内又は隣接する敷地内に所在する建物(有料老人ホーム等に限る)に居住する者に訪問介護を行う場合は、利用人数に関係なく
2 上記以外の範囲に所在する建物(有料老人ホーム等に限る)に居住する者に訪問介護を行う場合は、当該建物に居住する利用者の人数が1月あたり20人以上の場合
以上1、2に該当する場合は減算となるものです。
平成30年介護報酬改正では、有料老人ホーム等以外の一般のマンションでも減算の対象となることと、上記2の場合で1月あたりの利用人数が50人以上の場合は更なる減算も考えられます。
⑤ 訪問回数の多い利用者への対応
1 訪問介護(生活援助中心型)が統計的に見て通常のケアプランよりかけ離れた回数※の場合には、市町村にケアプランを届け出ることとする。
※「全国平均利用回数+2標準偏差」を基準
2 地域ケア会議の機能として、届け出られたケアプランの検証を位置付け、市町村は地域ケア会議の開催等により、届け出られたケアプランの検証を行うこととする。また市町村は、必要に応じ、ケアマネジャーに対し、利用者の自立支援・重度化防止や地域資源の有効活用等の観点から、サービス内容の是正を促すとしています。
⑦ サービス提供責任者の役割や任用要件等の明確化
サービス提供責任者の役割や任用要件等について以下の見直しを行う。
1 サービス提供責任者のうち、初任者研修課程修了者及び旧2級課程修了者は任用要件から廃止することとしています。
2 訪問介護の現場での利用者の口腔に関する問題や服薬状況等に係る気付きをサービス提供責任者から居宅介護支援事業者等のサービス関係者に情報共有することについて、サービス提供責任者の責務とします。
3 訪問介護の所要時間については、実際の提供時間ではなく、標準的な時間を基準としてケアプランが作成される。一方で、標準時間と実際の提供時間が著しく乖離している場合には、実際の提供時間に応じた時間にプランを見直すべきであることから、サービス提供責任者は、提供時間を記録するとともに、著しくプラン上の標準時間と乖離している場合にはケアマネジャーに連絡し、ケアマネジャーは必要に応じたプランの見直しをすることを明確化するとしています。
4 訪問介護事業者は、居宅介護支援事業所のケアマネジャー(セルフケアプランの場合には当該被保険者)に対して、自身の事業所のサービス利用に係る不当な働きかけを行ってはならない旨を明確化するとしています。
以上が平成29年12月13日に厚生労働省が発表した「平成30年度介護報酬改定に向けて(審議報告のとりまとめに向けて)訪問介護部門」についてになります。