ほっと・ケアライフ通信
第38回 「介護サービスの質の評価・自立支援に向けた事業者へのインセンティブ」の中間報告について
今回のほっと・ケアライフ通信では、第145回社保審で厚生労働省が発表した「介護サービスの質の評価・自立支援に向けた事業者へのインセンティブ」の中間報告についてご紹介させていただきます。
(1)今までの議論のポイント
① 評価方法について
介護サービスの質の評価については、ストラクチャー(構造)、プロセス(方法)、アウトカム(結果)の3つの視点に分類でき、特に、「より効果的・効率的な介護サービスの提供に向けた取組を促すには、利用者の状態改善等のアウトカム(結果)の観点からの評価を活用することが適している」とされているとされています。
実際に、平成18年度改定では介護予防通所介護等において事業所評価加算が導入され、平成24年度改定では介護老人保健施設の在宅復帰・在宅療養支援機能加算が導入され、平成27年度改定では訪問リハビリテーション等において社会参加支援加算が導入されるなど、アウトカム評価について順次導入されています。
しかし、ストラクチャー評価としてはサービス提供体制強化加算など、プロセス評価としてはリハビリテーション実施加算などがあり、現状の加算はストラクチャー評価とプロセス評価がほとんどなっています。
② アウトカム評価の課題
○ 居宅介護サービスを利用している方のほとんどが様々な介護サービスを利用しているため、どの介護サービスが効果的であったかの判断の難しさ
○ 介護事業者が回復の見込みのない方のサービスの提供をしないなど、利用者の選別が起こる可能性
(2)今回の議会での論点
① 介護サービスの質の評価の指標
○ 介護保険制度におけるサービスの質については、統一的な視点で、定期的に、利用者の状態把握を行い、状態の維持・改善を図れたかどうか評価することが必要であること
○ 各サービス提供主体で把握すべきアセスメント項目、その評価手法及び評価のためのデータ収集の方策等の確立に向けた取組を行うこと
○ 要介護者の状態と要介護者の状態を悪化させる事象褥瘡等)の起こりやすさとの間に関連があることが明らかとなっている。
② 自立支援に向けた事業者へのインセンティブについて
○ 現行の介護報酬においては、要介護度の改善に伴って報酬単価が低くなることがあり、要介護者の状態を改善させることで事業所の収入が減少することがあるため、その取組に対するディスインセンティブが生じているとの指摘がある。
○ 利用者の意に反して身体的な自立を強いるような自立支援については懸念する声がある。
以上が第145回社保審で厚生労働省が発表した「介護サービスの質の評価・自立支援に向けた事業者へのインセンティブ」の中間報告についてになります。