ほっと・ケアライフ通信
第37回 平成30年度介護報酬改正について
今回のほっと・ケアライフ通信では、平成29年7月5日に厚生労働省が会議した「平成30年度介護報酬改正について」のうち、訪問介護事業所と居宅介護支援事業所についてご紹介させていただきます。
今回の会議によりますと、平成30年度に行われる介護報酬の改正の論点はそれぞれ以下のようになります。
【訪問介護事業所】
○ 生活援助を中心に訪問介護を行う場合の人員基準及び報酬について、要介護者に対する生活援助の意義を踏まえ、どう考えるか。
⇒ 生活援助については人員基準の緩和や報酬減とするべきという意見が強くあります。しかし、介護度が重度な方も生活援助を利用していることや、人員基準の緩和によるサービスの低下、報酬減により職員の処遇が悪化し人材の確保がより困難になるという意見もあります。
○「生活援助」のみの利用状況については月31回以上の利用者が一定程度いる中で、身体介護も含めた訪問介護の報酬のあり方について、どう考えるか。
⇒ 時間の間隔さえおけば、複数回のサービスを提供が可能な訪問介護は、必要以上のサービスの提供がされやすい報酬体系になっています。そのため1日に算定できる介護報酬の上限などを設定するなどの対策が必要との意見があります。
○ 集合住宅におけるサービス提供の適正化について、どう考えるか。
⇒ 集合住宅へのサービスの提供については、一定の基準による減算規定はすでにあります。しかし、依然として「サービス付高齢者者向け住宅」や「住宅型有料老人ホーム」の入居者が利用する訪問介護の一人当たりの単価は、他と比べて高いというデータがあります。更なる減産が必要との意見があります。
○ 主として身体介護を行う者と生活援助を行う者の役割分担を進めていくことが重要との意見がある中で、サービス提供責任者の役割や任用要件について、どう考えるか。
⇒ 身体介護は介護資格を持つ職員がやり、生活援助は介護資格を持たない職員が行う場合、サービス提供責任者の役割についての検討が必要との意見があります。
○ 身体介護における自立生活支援のための見守り的援助について、どう考えるか。また、生活機能向上連携加算の取得状況を踏まえ、リハビリテーション専門職の意見を踏まえた訪問介護の実施について、どう考えるか。
【居宅介護支援事業所】
○ 居宅介護支援事業所における人材育成の取組を促進する観点から、居宅介護支援事業所の管理者のあり方についてどのように考えるか。
⇒ 居宅介護支援事業所の主任ケアマネージャーと管理者を兼任している場合、専任の主任ケアマネージャーや管理者がいる事業所に比べると、人材育成にかける力が弱くなっているというデータがあります。
○ 公正中立なケアマネジメントを確保する観点から、特定事業所集中減算のあり方や利用者やその家族に対する説明・同意プロセス等についてどう考えるか。
⇒ 特定事業所集中減算は、特定のサービス事業所への集中割合が80%を超える場合に適用される減算規定です。居宅介護新事業所と特定の事業所との癒着を防ぐことを目的としています。しかし、特定の事業所を使うことで本当に利用者に不都合は生じるのか、ケアマネージャーにたくさん利用してもらうのは事業所の努力ではないのかという意見もあり、必ずしも合理的で有効な施策であるとは考えられないとの指摘もあります。
○ 退院後に円滑に必要な居宅サービスを受けられるようにするために、入院時を含めた医療機関と居宅介護支援事業所との更なる連携に向けた取組みについてどう考えるか。
○ 末期の悪性腫瘍の患者に係るケアマネジメントについてどう考えるか。
以上が平成29年7月5日に厚生労働省が会議した「平成30年度介護報酬改正について」のうち、訪問介護事業所と居宅介護支援事業所についての内容になります。