ほっと・ケアライフ通信
第27回 「認知症施策の歴史」について
今回のほっと・ケアライフ通信は、今後増えることが確実とされている「認知症」についてになります。WAMNETに掲載されている「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)制定までの経緯と概要について」をもとに、過去の歴史で「認知症」への対策がどのようになされてきたかを振り返ってみます。
(1) 認知症とは?
認知症は様々なことが原因でおこる症状です。症状は、中核症状と周辺症状(BPSD)に分けられます。中核症状とは、認知症になると必ず生じる症状で、「記憶力の低下」や「判断力の低下」などの症状があります。周辺症状(BPSD)とは、本人の性格や生活状況などが反映される症状で「徘徊」や「妄想」などがあります。
(2) 認知症施策の歴史
① 初期(研究施設・居住施設の充実)
1986年に厚生省が「痴呆性老人対策本部」を設置して以来、1989年に老人地方疾患センター、1997年にグループホームの制度化、2001年に認知症介護研究・研修センターが開設されました。この時期は、主に研究機関と認知症の方の受け入れ先の施設の充実が図られました。
② 2000年代前半(地域ケアの始まり)
2006年には、認知症用のデイサービスなどの地域密着型のサービスが創設されました。
③ 2000年代後半(オレンジプラン)
2008年に、認知症になっても安心して生活できる社会を早期に構築のため、「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト」が組まれました。このプロジェクトでは、今後の認知症対策の具体的な内容として、「認知症の人の実態把握」「アルツハイマー病の予防方法や治療薬などの研究・開発」「早期診断の推進と適切な医療の提供」「適切なケアの普及及び本人・家族の支援」「若年性認知症対策」が掲げられました。
2012年には、厚生労働省が設置した「認知症施策検討プロジェクトチーム」が、今後目指すべき基本目標とその実現のための認知症施策の方向性について検討し、「今後の認知症施策の方向性について」をとりまとめ、公表しました。
「今後の認知症施策の方向性について」では、「認知症の人は、精神科病院や施設を利用せざるを得ない」という考えを改め、「認知症になっても本人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で暮らし続けることができる社会」の実現を目指すため、次の7つの視点からの取り組みを掲げました。
a.標準的な認知症ケアパス(状態に応じた適切なサービス提供の流れ) b.早期診断・早期対応 c.地域での生活を支える医療サービスの構築 d.地域での生活を支える介護サービスの構築 e.地域での日常生活・家族の支援の強化 f.若年性認知症施策の強化 j.医療・介護サービスを担う人材の育成
厚生労働省は、これら7つの取り組みにかかる具体的な数値目標を定めた「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」を2012(平成24)年9月に公表しました。
④ 現在(新オレンジプラン)
2013年に内閣総理大臣より厚生労働大臣に対して、認知症施策を加速させるための戦略の策定について指示がありました。その指示を受け、オレンジプランを修正してできたのが「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」です。厚生労働省は、2015(平成27)年1月7日に自民党に提示。その後に公明党の了承を得て、正式に発表されました。
「新オレンジプラン」は、オレンジプランから引き継ぎ、改変した7つの柱で構成しています。そして、オレンジプランの内容をベースに、新しい項目の追加や、目標値の引き上げなどを行いました。また、オレンジプランは厚生労働省内で策定したのに対して、新オレンジプランは関係省庁が共同して策定し、認知症の人の生活全般に及んでいることが特徴です。下記の図が真のレンジプランの概要になります。
以上が、WAMNETに掲載されている「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)制定までの経緯と概要について」をもとにした、「認知症」への対策の変遷になります。