ほっと・ケアライフ通信
第5回 居宅介護改正2015.2発表分
介護保険制度では、3年ごとに介護保険事業計画を作成することとされています。平成27年は、この3年目にあたり、計画に基づき介護保険報酬についても改正される予定です。今回のほっと・ケアライフ通信では、厚生労働省が平成27年2月9日に公表した平成27年度介護報酬改定の概要(案)のうち、居宅介護支援について考察したいと思います。
前回の議会(平成26年11月)に発表された、平成27年度介護報酬改定の概要(案)の居宅介護については、平成27年1月5日のほっとケアライフ通信第1回に掲載されています。
前回の議会では居宅介護支援について、(1)福祉用具貸与のみのケアプランについて、(2)認知症加算と独居高齢加算を基本報酬に、(3)事業所の公平・中立性の確保の推進について、(4)特定事業所加算の算定要件の見直しについて、(5)新しい総合事業サービスへの対応、(6)地域包括システム構築の推進の6つの論点で話し合いが行われました。
今回の議会では、居宅介護支援費や上記の(2)~(6)について話し合いが持たれました。上記の(1)については議論されていなったので、今回の改正では見送りになったかと考えられます。
- 居宅介護支援費
居宅介護支援費については、以下の変更がありました。
① 居宅介護(Ⅰ)※ 要介護1、2 1,005単位⇒1,042単位(△3.68%) 要介護3、4、5 1,306単位⇒1,356単位(△3.82%) ② 居宅介護(Ⅱ)※ 要介護1、2 502単位⇒521単位(△3.78%) 要介護3、4、5 653単位⇒677単位(△3.68%) ③ 居宅介護(Ⅲ)※ 要介護1、2 502単位⇒521単位(△3.78%) 要介護3、4、5 653単位⇒677単位(△3.68%) ※1人の居宅介護支援員が取り扱える要支援者・要介護者の人数は原則40人です。40人を超えると、減算の対象になります。1~40人までが居宅介護(Ⅰ)の点数、41人~60人までが居宅介護(Ⅱ)の点数、61人~が居宅介護(Ⅲ)の点数になります。
居宅介護支援費及び次で紹介する介護予防支援に係る基本報酬は、4%弱増加しています。 これは、ほとんどの事業所が加算していた認知症加算・独居高齢者加算が事実上廃止されるための措置であると考えられます。
- 介護予防支援に係る新総合事業の導入に伴う基本報酬の見直し
介護予防支援について、「介護予防・日常生活支援総合事業」の導入に基づいて次のように改正されました。介護予防支援費(Ⅰ月につき) 414単位⇒430単位(△3.86%)
介護予防についても今回の改正で単位が増加しているが、「介護予防・日常生活支援総合事業」が導入されると、総合事業におけるケアプランの作成は地域包括支援センターに移行されるので、暫定的な処置であるといえます。居宅介護支援員もケアプランを作成できる人数に限りがあるので、上手に地域包括支援センターとの業務の入れ替えをしないと、介護予防・日常生活支援総合事業」が導入前に要支援者の受け入れを居宅介護支援員が断るという事例が出てくる恐れがあります。
- 認知症加算・独居高齢者加算
前回と変わらず、基本報酬へ包括化により評価することになっています。 - 事業所の公平・中立性の確保の推進について
正当な理由のなく特定の事業所へのサービスの偏っている場合に、適用されるのが特定事業所集中減算になります。前回に引き続き、特定事業所集中減算については減算の適用割合の引き下げと対象サービスの限定を外すかどうかについて話し合われました。その結果、減算の適用割合が90%から80%に引き下げられ、対象サービスの限定は外されることが決まりました。減算点数は、引き続き▲200単位となります。例えば、35人分の居宅サービス計画がこの減算の対象となった場合、毎月7,000単位の減収になります。 - 特定事業所加算の算定要件の見直しについて
特定事業所加算の算定要件については、今回の議会では次のように見直されました。① 加算単位
現行 改正後 特定事業所加算(Ⅰ) 500単位 500単位 特定事業所加算(Ⅱ) 300単位 400単位 特定事業所加算(Ⅲ) なし 300単位 ②算定要件等
算定要件等は、平成27年介護報酬改定の概要(案)(平成27年度2月9日発表分)によりますと次のようになります。特定事業所加算(Ⅲ)が新しく増え、特定事業所加算(Ⅰ)と特定事業所加算(Ⅱ)については、人員の配置が強化され、中重度利用者の占める割合は減少しました。
- 新しい総合事業サービスへの対応
前回の議会に引き続き、居宅介護支援事業所と指定居宅サービス等の意識の共有を図る観点から、介護支援専門員は、居宅サービス計画に位置付けた指定居宅サービス等の担当者から個別計画の提出を求めることが出来る、としています。 - 地域包括システム構築の推進
前回の議会に引き続き、今般の改正で介護保険上に位置付けた地域ケア会議において、個別のケアマネジメントの事例の提供が求められた場合は、これに協力するように努めることとする、としています。